あさぎり通信「退職金の算出方法」
おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
なかなか寒くならないと思っていたら、急に寒くなり冬になってしまいました。
秋がなかったような気がします。
地球温暖化による異常気象なのか、
近年は、梅雨が短かったり、夏が異常に暑かったり、秋が短かったり、雪が沢山降ったりします。
一人一人が地球環境について考え、できることから何かを少しずつ始めて行く意識が必要ですね。
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● 退職金の算出方法
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■ 概要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
同族会社の役員の退職金については、役員退職金を経営者自らが決めることができる為、
退職金の金額をめぐって税務上問題となる場合がよくあります。
役員退職金の支給は節税効果が大きい為、私もよく「役員退職金はいくらなら税務上問題ないのか」
と相談を受けることがあります。
では、具体的にいくらにしたらよいのか???
一般的に功績倍率法により算出する方法が採用されています。
功績倍率法とは
最終報酬月額×勤続年数×功績倍率
(役職によって 1~3倍)
退職金の算出方法として、この説明をするだけであれば、
私があえてメルマガで書く必要はない論点です。
本当に功績倍率法が合理的なのか???
今回のメルマガでは、功績倍率法で一番の問題となる最終月額報酬について考察します。
■ 最終月額報酬の問題点 ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
簡単な具体例で考えてみます。
1 退職前の数年間の役員報酬を高額に支給した場合、功績倍率法により算出した退職金で問題がないか
実態よりも高額な退職金が算出されてしまいます。
2 退職前の数年間の役員報酬を低額に支給した場合、功績倍率法により算出した退職金で問題がないか
実態よりも低額な退職金が算出されてしまいます。
3 役員報酬の変動が激しい場合、功績倍率法の役員報酬の金額をいくらにしたらよいのか
役員報酬は、会社の利益状況により変動するのが一般的です。
役員退職金を功績倍率法で算出した場合において、上記の様な事例は多くあり、
不相当に高額になったり、低額になったりします。
税務上は、法人税法施行令70条2号において、
「業務に従事した期間、退職の事情、同業同規模の他社の役員の支給状況と照らして相当として認められる金額・・・」
と規定しています。
言葉ではわかりますが、実際具体的な金額を算出することになると難しいのが現状です。
この為、客観的な方法として一般的に功績倍率法が採用されていますが、上記の事例のように
功績倍率法であったとしても不相当な役員退職金になることもあります。
この為、最終月額報酬の金額を過去の平均法により算出する方法が考えられます。
少しは合理的な金額になるのではないでしょうか???
税務署に相談されても、具体的に税務上認められる上限の金額の説明を受けることは、まずないです。
具体的な対策としては、功績倍率法により算出した退職金が、同業他社に比べ
不相当な金額になっていないか検証する必要があります。
また、退職金の算出法について、具体的に書類で残しておくことが大切です。
■ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
同族会社の退職金の算出方法について、実際問題、税務上いくらまでなら支給できるかは難しい判断になります。
このメルマガで伝えたかったのは、
杓子定規に功績倍率法でのみ考えるのは問題があるということです。